タッチパッドはノートPC用のポインティングデバイスとして広く用いられてい るが、操作時にホームポジションから手がはなれるという欠点があった。 このため、テキスト入力とマウス操作が頻繁に交代する場合には不向きであり、タッチタイピングに習熟したユーザはタッチパッドよりもトラックポイントを好むという傾向があった。
本研究では、キーボードのホームポジションに手を置いたままでもタッチパッドを操作することを可能にする入力技術、``ThumbSense'' を提案する。提案技法はマウス(左右ボタン+ホイール)の上位互換になっており、マウス用の入力技法はそのまま利用可能である。タッチパッド操作の上位互換でもあるので、タッチパッド用に開発された対話技法(たとえばエッジスクロールやホットスポットなど)と併用することも可能である。提案する新技法によって、タッチパッドのトラックポイントに対する短所を克服でき、より使いやすい携帯型のポインティングデバイスが構成できる。